ペロブスカイトの産業化に向けた取り組み
新栄電子計測器株式会社は、地球温暖化を防止し、脱炭素社会を実現するために新たな取り組みに注力します。
東日本大震災による原発事故、電力不足問題の対策として、太陽光パネルの普及促進、そのための発電量の計測、不具合の検知の測定器に注力をしてまいりましたが、近年開発され、市場への流通が期待されている新しい太陽光発電の装置「ペロブスカイト」に着目し、その普及に貢献できる発電量測定や不具合の検知の測定器の開発に取り組んでおります。
今回は、産業化に向けた取り組みを政府も後押ししていることをご紹介します。
軽くて柔軟性に優れ、設置場所の大幅な拡大が期待できるペロブスカイト太陽電池は、
・製造工程が少なく低コスト化が見込める
・主要材料であるヨウ素は日本が世界シェア第2位を占めるなど、将来性が期待できる技術です。
政府も活用に向けた取り組みを後押ししており、
「グリーンイノベーション(GI)基金」(令和2年度第3次補正予算にて国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構[NEDO]に造成した2兆円の基金)において、「次世代型太陽電池の開発プロジェクト」(498億円)を立ち上げ、2030年の社会実装を目指しています。
この支援を通じて、これまで複数の企業が製造技術の確立に向けた開発を進めてきました。
1.積水化学工業株式会社…ビルの壁面や耐荷重の小さい屋根などへの設置が可能な軽量で柔軟なフィルム型太陽電池を開発しております。
2.株式会社東芝…メニスカス塗布法を用いて、フィルム型の太陽電池を作製。エネルギー変換効率の向上と生産プロセスの高速化の両立を目指しています。
3.株式会社カネカ…建材一体型への展開を目指し、既存のシリコン太陽電池製造技術を活用した技術開発をしています。
積水化学工業株式会社はビルの壁面や耐荷重の小さい屋根などへの設置が可能な軽量で柔軟なフィルム型太陽電池を開発しております。30センチ幅の製品のロールtoロール製造プロセス(複数のドラム・ロールで製品を搬送しながら印刷や塗布をおこなう方法)での連続生産が可能になり、耐久性10年相当、発電効率15%の製造に成功しています。
また、2025年に全面開業するJR西日本の「うめきた(大阪)駅」広場でのペロブスカイト太陽電池の設置や、2023年11月に公表した、世界初となる1MW(メガワット)超の高層ビル壁面への導入計画など、ユーザー企業との実証計画も複数公表しています。
こうした研究開発の成果が実りつつある一方で、中国、英国、ポーランドなど海外でも開発が急速に進められており、量産化に向けた動きも見られるなど、競争が激化する状況にあります。日本が世界での競争に勝ち抜くためには、2030年を待たずして一日も早く社会実装を実現することが必要です。